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ジルコニアクラウン
ジルコニアは二酸化ジルコニウムを主成分としたセラミックの1種です。従来のセラミックは強度が金属などと比較して低く、破折するリスクが高いこと、破折を予防するために歯の切削量が多くなる等のデメリットがありました。一方、ジルコニアは人工ダイヤモンドと呼ばれるほど硬度が非常に高いため歯の切削量を最低限に抑えることができ、表面が滑沢であることから歯周組織への為害性が少ないとされています。また、ジルコニアは透明度が低く、審美性に難があるとされていましたが、イットリウムの配合量を高くした高透過型ジルコニアの登場により、ジルコニアは機能性と審美性を兼ね備えた歯科材料として、陶材焼付鋳造冠(メタルボンド)に代わりクラウン治療におけるゴールドスタンダードとなっています。
ジルコニアクラウンにはジルコニア単味からなるモノリシックジルコニアおよびジルコニアのフレームの上に陶材を築盛したジルコニアボンドがあります。患者様の歯の種類やかみ合わせの強さ、審美的なニーズに応じて最適なマテリアルを提案させていただきます。
ダイレクトボンディング
ダイレクトボンディング治療とは
多種類のレジン(プラスチックにセラミックの粉末を配合したもの)を口の中で歯に直接盛りつけていき、天然歯のような自然な色や形を再現する治療法です。セラミックによる被せ物(クラウン)や詰め物(インレー)に比べて、歯を削る量を抑えることが特徴です。
天然歯は、明るく透明感のあるエナメル質、色が濃く透明性の低い象牙質、神経や血管がある不透明な赤色の歯髄の3種類の構造が重なり合って作られています。従来のレジンでは、このような歯の複雑な質感を再現することが困難でした。
近年、透明感や色調が豊富に揃った審美修復用レジンが開発され、多数の色調を積層築盛することで、天然歯のような自然な歯を再現できるようになりました。
ダイレクトボンディングのメリット
- 歯を削る量が少なく、歯にやさしい
ダイレクトボンディング治療は必要最小限の範囲のみを削って治療することができます。
被せ物(クラウン)や詰め物(インレー)と比べて、歯への負担が少ない治療法です。
- 自然な歯を再現できる
色調や透明感の異なる多種類のレジンを使用することで、自然感あふれる歯を再現することができます。
- 短期間で治療できる
直接口の中にレジンを詰めるため、歯型を採って技工士が製作するセラミック治療より短期間で治療できます。
- 良心的な治療費
セラミック治療や矯正治療などの他の審美治療よりコストを抑えて治療することができます。
- 部分的な補修ができる
セラミックや金属による治療と異なり、治療部位がかけた場合や変色した場合は、その部分だけを補修することができます。
ダイレクトボンディングのデメリット
- 口の中で歯に多種類のレジンを直接盛り付けて歯を再現するため、一回の治療時間が長くかかり、顎を開け続けるのが負担になる場合があります。
健康保険適応のレジン修復との違い
ダイレクトボンディング治療は、健康保険適応のレジン修復とは使用するレジン、歯への接着システムが異なります。
それによりむし歯の再発リスクが低くなり、より自然感のある仕上がりになります。
治療例
ダイレクトボンディング治療例1
30歳の女性です。自転車で転んで歯が折れてしまったとの主訴で来院されました。
歯冠が半分に折れ、歯の神経が露出してしまっている状態でした。
歯の破折で神経が露出しても、適切な診断・処置によって多くの場合神経を残すことが可
能です。
この日はMTAセメントという生体親和性の高い材料を用いて歯の神経の保護を行い、仮の
詰め物をしました。
次回来院時、症状が無いことを確認し、ダイレクトボンディングで治療を行いました。
現在、治療終了後1年ほど経過していますが、歯の神経は正常な反応を示しており、詰め
物に変色や着色は起こっていません。
(治療期間:2日 治療費:¥60,000)
ダイレクトボンディング治療例2
45歳の女性です。ダイレクトボンディングで治療を行いました。
左上奥歯の金属の詰め物の下に虫歯があり、見た目を気にされていました。詰め物と自分の歯の境目がほとんど分からないような仕上がりになったことで、患者様も大変満足されてました。
見た目だけではなく、型取りをする必要が無いため、1日で治療が終了することも大きな利点の一つです。
(治療期間:1日 治療費:¥40,000/1本あたり)